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政府の教育基本法「改正」案で教育は再生しない…

臨時国会が始まり、安倍新内閣のもとで教育基本法「改正」案の審議が再開されようとしています。しかし、この「改正」案は、戦前の国家主義教育の反省の上に立って築かれた民主教育の理念をくつがえし、国家による教育支配と「滅私奉公」の愛国心教育へと導くものです。安倍首相の教育政策は、そのことを克明に裏付けています。「毎日新聞」の社説が、的確に批判的見解を述べていますので紹介します。
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■毎日新聞(10月9日)社説:教育再生 締め付けを強めたいのか
 「すべての子どもに高い学力と規範意識を身につける機会を保障するため、公教育を再生します」。安倍晋三首相は、臨時国会での所信表明演説や代表質問への答弁で、再三にわたってそう力説した。首相が目指す「美しい国」づくりのために、教育再生が国政の最優先課題だという。
 いじめ、校内暴力、不登校、学力低下など、教育現場が抱えるさまざまな問題を解決するために教育改革が必要である、と多くの国民が思っていることは確かだ。前政権では教育問題への熱意が感じられなかっただけに、安倍政権の手腕に国民の関心が集まる。
 問題は、改革の方向性とその中身である。「規律ある人間の育成」を目標に掲げる安倍首相は、教育への国の関与の度合いを強め、管理の徹底を目指しているように映る。しかし、その方向は、教育をできるだけ学校や地域の自由に任せ、子どもたちをのびのびと育てていこうという教育本来の理念から、かけ離れてはいないか。
 今国会で安倍政権が最初に取り組むのが、教育基本法の改正だ。先の通常国会に提出された改正案には野党が強く反対し、審議は約50時間に及んだ末、臨時国会に引き継がれた。改正案には「公共の精神を尊び」「伝統を継承し」「我が国と郷土を愛する」と、安倍首相が好みそうな言葉が並ぶ。
 改正案のポイントの一つは「国は教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない」との条文を設けて国の関与を明確にし、教育振興基本計画の策定を政府に義務付けている点だ。現行法の下でも文部科学省が教育の指針となる学習指導要領を策定しているにもかかわらず、あえて明文化することによって、教育内容への国家の介入を強めることにつながらないかとの懸念が生じる。
 安倍首相が強調する教員免許の更新制度や国の監査官による学校評価制度の導入も、運用によっては教育現場を一層締め付けかねない。こうした管理強化により、学校や教員はこれまで以上に教育委員会や文科省の顔色をうかがうようになり、教育現場にぎすぎすした雰囲気と混乱をもたらすのではなかろうか。教育への国の関与はできるだけ抑制的であるべきだ。
 一方で、安倍首相は著書「美しい国へ」で、教育バウチャー制度の導入も提唱している。バウチャーとは利用券のことで、子どもたちは自治体から支給される利用券を持って、行きたい学校を選択できるという制度だ。しかし、学校間に競争原理が持ち込まれることになり、格差の拡大を招く恐れがある。教育現場の管理と競争が強まることで、子どもたちの心からゆとりが消えてしまいかねない。
 安倍首相は教育再生を「百年の計」と訴えてきた。首相の私的諮問機関「教育再生会議」で施策の具体化を図り、来年3月には早速、中間報告をまとめるという。百年先を見据えた教育改革とするために、ここは焦らず、じっくりと幅広い議論を重ねていってほしい。


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