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空襲被害者に対する補償は国の責任

 昨日、東京浅草の台東区民会館ホールで行われた「東京大空襲訴訟の勝利をめざす8・1集会 日本の戦後処理を問う」に参加しました。会場いっぱいの330人が参加し、新聞社やNHKの取材も入りました。メイン企画のパネルディスカッションは、東京大空襲訴訟弁護団団長の中山武敏さんがコーディネーターとなり、上原公子さん(元国立市長)、藤森研さん(朝日新聞記者)、前田哲男さん(軍事史研究家・評論家)、田中煕巳さん(日本原水爆被害者団体協議会事務局長)、星野弘さん(東京大空襲訴訟原告団団長)がパネラーとして日本政府が戦後処理を正しく行ってきたかどうか、軍人・軍属に対する年金・恩給という手厚い援護と空爆による民間人被害者に対する無補償という差別がいかに不条理なものであるか、戦争体験を風化させないで平和な日本と世界をつくっていくために何をすべきかについて、それぞれの専門分野から具体的で示唆に富むお話しがされました。
 配布された「第10回口頭弁論意見陳述書」には、この訴訟の意義と争点が非常に明確に書かれています。児玉勇二弁護士の意見陳述では、「空襲被害の直接の加害者は米軍でしたが、日本政府が起こした太平洋戦争の結果で、日本政府の責任は免れません。しかし、日本政府は一貫して空襲被害者を救済することなく放置し、戦後処理(戦後補償を含む)の責任を果たさないまま現在に至っています」と述べ、救済義務の法的根拠として日本国憲法の前文及び条文をあげています。それは前文と第9条に示されている平和的生存権に基づく義務であり、第13条[個人の尊重と公共の福祉]、第14条[法の下の平等]、第17条[国及び公共団体による損害の賠償]、第25条[生存権、国の社会的使命]によって導かれるものです。
 空襲による無差別爆撃は多くの民間人の命と財産を奪い、生き残った負傷者と遺族は自分の力だけではとうてい元の生活に戻れない境遇に追い込まれます。日本軍が無差別爆撃を行った中国の重慶でも、東京大空襲の被害者と同じ境遇の人々がたくさん生まれました。岩波ブックレット「空襲に追われた被害者たちの戦後-東京と重慶 消えない記憶」(沢田猛著)を読んでいただければ、日本と中国の二つの都市でおきた空襲被害者の苦しみを知り、日本国が謝罪と補償を行うべきであることを理解していただけると思います。人の命は平等ですから、空襲被害者が人間としての尊厳を取り戻せるように、心から裁判の勝利を祈ります。
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