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ラストメッセージ 井上ひさし「木の上の軍隊」(NHKスペシャル)

 5月4日放送のNHKスペシャル「ラストメッセージ 井上ひさし“最期の作品”」で、彼が死の間際まで書き上げたいと願っていた未完の戯曲「木の上の軍隊」が上演されるまでのドキュメンタリーを見ました。
 2010年に他界された井上ひさしさんが 最後まで書こうとしていた「木の上の軍隊」は、戦中・戦後、米軍の目を逃れるために2年の間ガジュマルの木の上で生活した兵士の物語でした。(演出:栗山民也、脚本:蓬莱竜太)
 井上ひさしさんの娘の井上麻矢さんが、亡き父の想いを知るために、沖縄で父の足跡を追いかけます。井上ひさしさんをガマに案内した女性は、「耐えていらっしゃるみたいな感じで、私もこんなつらい話をしていいのかな」と当時を回想していました。また米軍・嘉手納基地を視察した井上ひさしさんの言葉が録音されて残っていました。基地の想像を絶する現実にショックを受けたこと、それを押し付けている本土の人間の一人として腑抜けだと思ったことを、井上ひさしさんは語っていました。
 ガジュマルの木の上で生き抜いた二人の兵士の物語は、沖縄の歴史のひとつのエピソードで終わらすことのできない史実です。私たちが、沖縄戦や基地問題を考えるとき、戦争・軍隊の過酷さ、亡くなった無数の住民の無念、その中でも生きぬいた人間の宿命に想いを寄せて、はじめてそれを理解できるものなのだと、このドキュメンタリーを見て思いました。
 こまつ座&ホリプロの「木の上の軍隊」…私はまだ観る機会を得ていませんが、 5月10日・11日に名古屋公演(会場:名鉄ホール)、5月16日~19日に大阪公演(会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)と続きます。

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