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沖縄-愛と平和と-宮良瑛子展(丸木美術館47周年)

 5月5日、原爆の図で有名な丸木美術館の開館記念日(47周年)の行事があり、私は初めて丸木美術館を訪れました。丸木美術館では、沖縄で戦争や社会の現実に向き合う女性画家・宮良瑛子さんの個展が7月12日まで開催されています。
 順路に従って、2階に上がると、宮良瑛子さんの絵本原画が展示されていました。一つは「湖南丸と沖縄の少年たち」で、1943年12月21日に湖南丸という船が米軍の潜水艦グレイバック号によって雷撃され800人あまりの児童が犠牲になった事件を題材にしたものです。沖縄の海では戦争でたくさんの船が沈み、子どもたちも犠牲になりました。もう一つは、「忘れな石」という作品です。1945年、米軍沖縄上陸の直前、八重山諸島の最南端・波照間島の人々は飼っていた牛や豚を軍隊に皆殺しにされ、西表島に疎開させられました。しかし疎開した多くの子どもたちがマラリアに倒れ亡くなりました。沖縄戦が終わって2か月後に波照間国民学校の校長が「この石を永遠に忘れるなかれ」と痛恨の思いを込めてコツコツ彫り込んだのが「忘勿石」だったというお話です。
 2階の広い部屋と1階に、丸木夫妻(位里さん、俊さん)による『原爆の図』の作品群が展示されています。原爆が投下された広島の現実はまさに地獄絵ですが、丸木夫妻の共同制作で生み出された作品は、生死をさ迷う人にも、亡くなってしまった人にも、確かに生きた証があったことを感じさせます。それは、無惨だと言い捨てることはできない、受け入れがたい死だということを思いました。私が強く印象に残ったのが、「原子野」「少年少女」「母子像」「焼津」「とうろう流し」です。
 1階の宮良瑛子展は、色彩鮮やかな「市の女たち」「七月エイサー」、戦争が残した傷跡を描いた「海底幻影」(1986年)、「転生」(1994年)、「オモニ・幾星霜」(1996年)、現在の基地問題を描いた「美ら島・辺野古」(2005年)、「漂泊の島より-辺野古断章-」(2009年)などの力作が目をひきました。ぜひ多くの人にみていただきたいです。
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 この日、午後1時から「開館記念日の集い」、1時30分から外岡秀俊さんによる講演「沖縄の明日 不屈の美 -宮良瑛子さんの展覧会に寄せて」が行われました。
 丸木美術館の入門書としておすすめは、同館で発行・販売している『戦争と平和と美-丸木位里と丸木俊の芸術-』ジョン・W・ダワー著/袖井林二郎訳です。また、同館学芸員・岡村幸宣著『非核芸術案内-核はどう描かれてきたか』岩波ブックレットNo.887も購入して興味深く読みました。033.jpg
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