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貧困から子どもと教育を守るフォーラム

 今日(27日)、東京で「第5回子どもと教育を語るつどい- 貧困から子どもと教育を守るフォーラム」が開かれ、教育関係者や父母など130人が参加しました。
 このフォーラムでは、二宮厚美さん(神戸大学)が、「貧困と格差をなくし安心して学べる社会を」と題して講演されました。その中で、現代の子どもたちの貧困をとらえる視点として、子育て世帯の所得水準の悪化にともない、子どもたちが心身ともに健康に成長・発達することが損なわれている問題と、保育・教育等のコミュニケーション労働の貧困(不足)によって、困難を抱える親と子どもが孤立させられてしまう問題があることが指摘されました。そして、児童虐待の増大や「貧困→低学力→職業格差」の連鎖を克服するために、学校教育だけではなく、保育、医療、福祉サービスが必要な人にゆきとどくシステムを作っていく必要があること、また「教育の機会均等」にとどまらず、競争社会を克服していく教育内容に作りかえていく必要があることが提起されました。
 二宮さんの講演の後、教職員、父母、高校生、家庭裁判所調査官、弁護士らが、それぞれの立場から、子どもをめぐる貧困状況について話され、教職員と福祉・保育・医療関係者、弁護士、市民団体が共同して、子どもの貧困問題の解決のために交流し、行動していくことが大切であると確認されました。
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このフォーラムのアピールは以下の通りです。
【アピール】
         貧困と格差をなくし、安心して学べる社会を
         - 教育費無償化をさらにすすめよう -

 「夫が自営業だが景気悪く収入が不安定。4月からの教育費など負担が大変になる。どうしたらよいか」「3月1日に卒業式がある。授業料の支払いが遅れていて心配。どうにかならないか」「会社がつぶれてしまい、自己破産中。教育ローンも借りられない」「自営の仕事がほとんどなく、給食費、予防接種代が払えない」。
 これらの声は全教などがおこなった「授業料・教育費緊急ホットライン」での相談内容です。
 教育費の過大な保護者負担が、親、子どもの生活と教育を受ける権利に深刻な影響を及ぼしています。また「学校に相談するのははずかしい」「高い授業料で親が苦労するのは自分のせい」と自らを責め、親も子どもも未来への展望を持ちづらくさせられてしまっています。
この背景には、労働者の雇用破壊、生活破壊をもたらした新自由主義的「構造改革」があります。また教育に競争の原理・市場原理を持ち込み、全国一斉学力テストや学校選択制などをおしすすめてきたのもその路線です。それは、国連子どもの権利委員会から指摘されているように、子どもたちの発達にさまざまな障害をもたらしています。「自己責任」「規範意識」などが強調され、子ども、保護者、住民、行政、学校などそれぞれが孤立させられています。
 子どもたちの成長・発達にかかわってきた私たちは、子どもたちの最善の利益をと考え、これまでもさまざまな問題にとりくみ、それぞれに学び、交流し、行動してきました。
 父母・国民のみなさん
 昨年から私たちの運動で、国民の願いである公立高校の授業料実質無償化、私立高校の就学支援金を政府予算の中に盛り込ませ、国会では4月実施にむけて法案審議が始まりました。また、授業料滞納で今春卒業できない子どもを出さないために、教育支援資金の貸し付け対象に授業料滞納分を組み入れさせ、さらに施設整備費などにも広げさせました。各地域でも授業料免除枠の拡大、私立高校の授業料無償化枠の拡大など前進しています。
 これらは無償教育の第一歩です。授業料のみならず、すべての教育費に対しての無償化を前進させましょう。
 世界一高い教育費。中等教育・高等教育無償にかかわる国際人権A規約13条2項(b)(c)の批准を留保しているのは、日本とマダガスカルだけです。この13条は、「教育についてのすべての者の権利」を定め、この「権利の完全な実現」のため、「無償教育の漸進的導入」を規定しています。国にはたらきかけ、一刻もはやく国際人権A規約13条2項(b)(c)の留保を撤回させましょう。
 都道府県・区市町村などにはたらきかけ、緊急の支援策などを実施させましょう。
 各県・地域でつどい、シンポジウムを開いて多くの人との共同と対話を広げましょう。
 すべての子どもたちが安心して教育を受けられるよう、ともに学び、交流し、社会的連帯の力で子どもたちをまもる社会を築いていきましょう。

                       2010年2月27日
                 2.27子どもと教育を語るつどい
            「貧困から子どもと教育を守るフォーラム」

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