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第二次世界大戦の反省と平和・国際理解の教育を

 参議院選挙の政見放送を見ていると、日本が過去に犯した侵略戦争への反省もなく、イラク戦争で無差別虐殺を犯したアメリカ軍との同盟が何よりも大事だと主張する人たちがいて、とても憂慮すべきことだと思います。今年の憲法記念日に講演を聴いた伊藤千尋さんの本のことをお話しします。『活憲の時代-コスタリカから9条へ』(2008年、シネ・フロント社)ですが、その第2章「戦後責任をどう果たすか-『白バラの祈り』より」に書かれていることです。
 映画『白バラの祈り』の監督は、マルク・ローテムントという若いドイツの監督ですが、彼がこの映画をつくろうと思った動機は、ゾフィー・ショルが処刑されてから60年後、ドイツの新聞記事に「処刑前の4日間、ナチスのゲシュタポは彼女を訊問した」と書かれていたのが目につき、訊問したのなら記録が残っているはずだと調べてみたら、公文書館に残っていた。それを読むと彼女は最初から英雄だったわけではなく普通の女の子で、4日間の訊問のなかでどんどん強くなっていった。それが分かったので、そのことを伝えたいと思って、この映画をつくったということです。
 ローテムント監督は、「いまのドイツの若者は、昔ドイツが起こした戦争に対して責任を持つ必要はないけれど、未来のために過去から学ぶ責任がある」「加害者が、自分の目で過去をきちんと見て、きちんと総括することによって、被害者は加害者を尊敬するようになり、共に平和な未来を築くことができるようになる。これが私たちのやるべき道だ」と言います。
 ドイツのテレビ局が「ドイツで一番偉大な人は誰か?」というアンケートをとったところ、30歳以下のドイツ人の1位になったのが、ゾフィー・ショルと兄のハンス・ショルでした。ドイツの学校では、きちんと歴史教育をしていて、その時セットで教えるのがアンネ・フランクとゾフィー・ショルの2人だということです。『アンネの日記』にあるように、酷い独裁のなかで人権無視のなかで死んでいった少女がいる。かたや人権無視の体制のなかでもそれに反対する少女がドイツ人のなかにもいた。そのことをドイツの学校ではセットにして教えている。いまドイツ全土でゾフィー・ショルの名前がついた学校が全部で190あります。ドイツでは、同じ過ちを繰り返さないように、忘れないようにしているんです。日本人はこうしたドイツの姿勢に学ばなくてはいけないと思います。
 「アンネの日記」と「白バラの祈り」のように、若い世代の心を動かすような戦争告発の文学と映画が、日本にもアメリカにも必要なんだと思います。軍事力に頼らず、話し合いで問題を解決する平和外交を築くためには、第二次世界大戦で他国に侵略して多くの人びとを殺した歴史をしっかりと反省して、平和・国際理解の教育にもっと力を入れていく必要があると思います。

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