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アフガニスタンへの自衛隊医官、看護官派遣検討に対する懸念表明 JVC

JVC(日本国際ボランティアセンター)は、12日、政府が検討しているアフガニスタンへの自衛隊医官、看護官派遣が、現地で活動するNGOの人道支援活動に危険をもたらすことになるとして、懸念表明の文書を政府に提出しました。
http://www.ngo-jvc.net/jp/notice/2010/notice20101112_afghanstatement.html
内容を少し紹介します。
「1.現在のアフガニスタンの社会状況では軍事的アクターによる解決は困難です」で、2010年上半期の紛争による民間人の死傷者が3268人と前年より31%増加しており、外国軍の誤爆や攻撃による犠牲が少なくないために外国軍への反感を強めていることを指摘。
「2.日本へのイメージが親日から失望へ変わることが懸念されます」で、日本政府による50億ドル民生支援の表明で生まれたアフガニスタン国民の日本への信頼が、今回の日米同盟に配慮するような自衛隊医官、看護官派遣の方針によって、2007年インド洋での給油活動を開始したときのように日本への失望へと変わることが懸念されること、「3.アフガニスタンでの人道支援にとって自衛隊の医官・看護官の派遣は『百害あって一利なし』です」で、自衛隊の医官、看護官は外国軍の一員と理解されて反政府勢力のターゲットになるだけでなく、日本が現在行っている復興支援の関係者もターゲットになることが予想されることを指摘。
「4.今回の検討に対して以下のように考えます」で、政治的、軍事目的とは切り離した人道支援の中立性を確保することが、アフガニスタンの人々に支持を受ける日本らしい支援と考えます。そのために、自衛隊の医官や看護官ではなく、日本の文民やアフガニスタンのNGO、国際機関による人道および復興支援を継続、強化することを日本政府に要望します。と述べています。

2008年8月26日、ペシャワール会のワーカー伊藤和也さんがアフガニスタン・ダラエヌールで武装グループの凶弾に斃れました。『アフガニスタンの大地とともに』(ペシャワール会編、2009年)のあとがきに福元満治さんは書いています。「伊藤君が殺された時、だから「反テロ戦争」が必要だという声が、日本政府の中から上がった。本当にそうか。軍事では、反政府勢力を制圧できないと考えるカイザル政権は、公然とタリバンに交渉を呼びかけ始め、サウジアラビア政府に仲介を依頼している。2002年東京で「アフガニスタン復興支援会議」を開いた日本政府こそ、軍事的な対米従属を止め、政治的仲介に乗り出すべきではなかったのか。……アフガニスタンの本来の平和的秩序を取り戻すには、用水路でもって大地の再生に取り組むしかない。私たちはそう思い、これまで通り、アフガン復興のための医療と水と農業のプロジェクトを続けていくつもりである。そしてそのことが復興を願いながら、志半ばで倒れた伊藤和也君への弔いであると考えている。」

真剣にアフガニスタンの民衆とともに復興支援を続ける人たちの声に、日本政府は耳を傾けるべきです。

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