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20世紀から続いてきた放射性廃棄物による汚染

 NHKオンデマンドで、「第4回もう一度見たい!世界のドキュメンタリー特別週 検証 原子力発電「終わらない悪夢」(前編)」(2009年フランス、Arte France/Bonne・Pioche制作、8月10日23:00放送)を見ました。米ソの核軍拡競争の裏で、原子力産業が放射性廃棄物による環境汚染を続けてきたことが告発されました。
 内容を少し紹介します。EUの最近の世論調査では原子力産業へ不信感を抱いている人は75%に及んでいます。その根底には放射性廃棄物に対する恐怖があります。
 かつて放射性廃棄物の多くは海洋に投棄されていました。グリーンピース本部のマイク・タウンズリーさんへのインタビューで、放射性廃棄物が詰められて投棄されたドラム缶が、腐食して空になっていることが明かされました。放射性物質を不用意に捨てると食物連鎖で人体に放射性物質が入り込み、遺伝子が傷つけられ、ガンなどの病気にかかります。民間の反核運動が高まり、1993年には国際条約により海洋投棄は全面禁止になりました。しかし廃棄物の管理にはいまだにあいまいになっているところがあります。
 米国ワシントン州のハンフォード核施設は、マンハッタン計画の舞台となり、長崎に投下された原子爆弾のプルトニウムを生産した原子炉がありました。ハンフォードは長年秘密の場所で、どれだけの放射性廃棄物によって汚染され、住民が被爆したか、誰も知らなかったといいます。コロンビア川は廃液によって汚染されていましたが、ハンフォード核施設の責任者は、驚くことに職員の家族が川で遊ぶことを許していました。
 ソビエト・ウラル地方のマヤークは原子爆弾用のプルトニウムを生産する原子炉および再処理施設をもつ施設でした。ここで1957年9月29日に爆発事故が起こり、重大な放射能汚染が生じました。ソビエトの反体制派の科学者、ジョレス・メドベージェフは、1976年にこのことをあばきましたが、原子力発電を推進する西側の科学者はこれを無視しました。この爆発で200人が死亡し、27万人が被曝しました。マヤークから出た放射能で汚染された廃液は、テチャ川を流れ流域をひどく汚染しました。テチャ川放射能汚染.jpgフランスの原子力調査機関CRIIRAD研究者のクリスチャン・クールボンは、汚染された土壌を持ち帰り、分析しました。放射性物質セシウム137がかなり多く検出され、あってはならないプルトニウムの存在も確認されました。汚染のひどさは、チェルノブイリに相当するものですが、誰でも自由に出入りできる場所です。「一番の疑問は、なぜ村の住民を避難させないのかということだ」と話していました。(後編に続く)
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