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作家・辺見庸 しのびよる破局のなかで

ETV特集「作家・辺見庸 しのびよる破局のなかで」2月1日(日)放送を、NHKオンデマンドで観ました。現在の社会が直面している危機について、深く考えさせられました。内容の紹介をします。

【番組内容】作家の辺見庸さんが、いま世界が直面する危機について語る。アメリカの金融破たんに始まる未曽有の景気後退の中、現在進みつつある“破局”は経済だけのものではない、崩壊しつつあるのは人間の価値観そのものではないかと指摘する。去年の6月発生した秋葉原の通り魔事件をひもときながら、“破局”の実相に迫ろうとする。

【視聴メモ】
 パンデミック(感染爆発)に例えられるような危機、破局が、経済だけではなく人間におきている。人間の価値観も危機に瀕している。生きていく意味があるのかという根源的なものが喪失している。揺すぶられている。人間の真価を問い直すチャンス。
 マスメディアが資本の潤滑油になっており、厳しい現実をコーティングして、変わらぬ日常があるように思わされてしまう。(カミュの小説『ペスト』を引用しながら人間が危機に直面したときの行動や思考について語った。)
 無意識の荒み(すさみ)を摘出してみた方がいい。首を切られた労働者たちが宿を求めたり、食を求めたりするニュースが流されている一方で、大食い競争の番組をやっていたりする。正気と狂気が交差して重層する社会に今なっている。
 今の社会が人間の生体にあっていないから断層や歪みができて、痙攣や発作が起きる。世の中がコーティングされていることへのいらだちが生まれる。
 自覚的な個であるということについて考える。誠実さということは退屈であるかも知れないがそれしかない。辛いけれども助け合ってたたかう必要がある。
 「絶望になれることは 絶望そのものよりも さらに悪いのである」(カミュ「ペスト」より)
 勝者(成功者)を待ち望む眼ではなく、不都合な世界をえぐる物語を表現してもいい。経済社会的な恐慌状態のなかで、敗者の物語のなかに考えるきっかけがあると思う。
〈主に辺見さんの言葉で印象に残ったものの要点メモです。MITURU〉
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banzai

「作家・辺見庸 しのびよる破局のなかで」リンクさせていただきました。
by banzai (2009-02-09 17:38) 

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