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東京大空襲訴訟2周年大集会

 今日は、東京・浅草公会堂でひらかれた「東京大空襲訴訟2周年 人間回復めざす大集会」に参加しました。会場には1,100人の参加者が集まり、二度と戦争による空爆で民間人の犠牲者を出させないために、「歴史に残る公正な判決」を求めて運動を拡げていくことを確認しあいました。
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 東京大空襲訴訟についてあまり知られていないと思いますので、訴訟原告弁護団長の中山武敏さんの文章を引用して紹介します。集会の資料として配布されたものです。
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◆空襲被災者 戦争被害受忍論の見直しを
           ~東京大空襲訴訟原告弁護団長 中山 武敏
 原告132人が国を被告として、民間人空襲被災者を何らの救済をなさず放置してきたことへの謝罪と賠償を求めている東京大空襲訴訟(東京地裁)の証拠調べが今年1月に終了した。5月に結審となり、その後、判決が言い渡される。
 証拠調べでは、作家の早乙女勝元氏が「東京大空襲が一夜にして奪ったものは、人の命、財産、住居と町並みを含む生活基盤、未来への希望のすべてである」、精神科医の野田正彰氏が「空襲被害者の多くが、高齢者になってから、凄惨な空襲体験の極限状況を想起し、再び苦しんでいる。原告らの精神的負荷は国を含む共同体で背負わない限りこれを軽減することはできず、死者に対する慰霊と生き残った者に対する補償が不可欠である」と証言された。
 また、歴史研究者の池谷好治氏は、戦争被害で何ら援護処置を受けていないのは空襲、艦砲射撃、機銃掃射などの「一般戦災者」だけで、軍人・軍属と民間人一般戦災者との差別の不条理を証言された。
 一方、国は、「戦争犠牲ないし戦争損害は、国の非常事態のもとでは、国民の等しく受忍しなければならないところであって、これに対する補償は憲法の全く予想しないというべき」とする、87年の最高裁第二小法廷判決を引用し、原告らの請求が認められる余地はないとの主張をしている。
 しかし、こうした「戦争被害受忍論」は、国防義務(徴兵制)や天皇の統帥権(統帥権の独立)などの規定があった旧憲法的人権感覚に基づくものであり、平和主義、基本的人権の尊重を基本原理としている現憲法の理念とは相いれない。
 憲法前文の「平和のうちに生存する権利」の確認、同13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」の尊重、14条の「法の下の平等」、17条の「国家賠償責任」などの各規定からは、戦争被害受忍論は到底是認されないものであり、国は空襲被災者を救済する法的責任を負っていると言える。
 戦後補償裁判において、下級審では法理論を工夫し、被害者救済の判例が積み重ねられている。軍人・軍属だけではなく、原爆被爆者、民間人を含む引き揚げ者、満州開拓団員、日赤従軍看護師、シベリア抑留者など一般戦災者にも、補償が順次拡大されているのだ。
 民間人空襲被災者だけ「等しく受忍せよ」という戦争被害受忍論の不条理は明らかだ。戦争被害に対する国家補償制度の国際的な原則も、国民平等主義(軍人・軍属などと民間人を区別しないこと)と、内外人平等主義(国籍による差別をしない)である。戦争被害受忍論は見直されるべきである。
  2009.3.4「朝日新聞」-私の視点
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タグ:空爆
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