第82回中央メーデー集会で被災者支援・被災地復興を呼びかけ

　今年のメーデー集会は、3月11日に日本を襲った東日本大震災による危機と困難が続くなかで開かれ、特別の意義がありました。
　東京・代々木公園の第82回中央メーデーと全国各地で開かれたメーデー集会は、被災者支援・被災地復興を第一のスローガンに掲げました。中央メーデー集会には2万1000人がつどい、労働者・国民のいのちとくらしを守ることができるような政治・経済への転換を求める宣言を採択しました。
＝第82回中央メーデー　メインスローガン＝
◇東日本大震災の被災地支援、福島第１原発事故の早期収束と被害補償
◇貧困と格差の解消。大企業の内部留保を労働者・国民に還元し景気回復を。働くルールを確立しよう。すべての労働者の賃上げと雇用確保で内需拡大を。
◇国のあり方を変える「TPP参加」「地域主権改革」反対。国民いじめの消費税増税反対、社会保障制度の充実を。大企業中心から国民本位の政治の実現を。
◇ただちに核兵器禁止条約の交渉開始を。海外で戦争する「新防衛計画大綱」反対。許すな憲法改悪。普天間基地の即時無条件返還、米軍基地の再編・強化反対。
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【第82回中央メーデー宣言】
　第82回中央メーデーは、東日本大震災による被災者・被災地との連帯、絆を確認し、働くものの雇用とくらしの安定こそ復旧・復興の要の課題であることを確認しあい成功した。
　大震災犠牲者の冥福を祈り、一日も早い震災復興にむけて力を寄せあおう。
◇すべての労働者・国民のみなさん
　大震災被害がもたらした労働者・国民のくらしへの影響は甚大である。それだけに、「地震は自然現象であるが、地震による災害の多くは人災であるといえる」とした、かつての東京都震災予防条例の指摘の重要性をふまえ、住民生活重視の防災社会づくりを求める声と運動を強めよう。
　東京電力福島第一原発での放射能漏れの大事故は、原発「安全神話」に寄りかかり、最悪を想定した対策を講じないまま原子力利用を進めてきた明らかな人災である。東京電力及び歴代政府の責任は重大である。事故の早期収束に全力をあげるとともに、すべての被害者への早期賠償、全原子力発電所の安全点検と東日本大震災規模を想定した対策実施、あらたな原発建設の中止、安全優先の自然エネルギーの転換などエネルギー政策の見直しを求めて取り組もう。
　震災発生から２カ月になろうとするいまでも、避難所などで人間らしいくらしを奪われ続ける被災者は多数にのぼる。政府の被災者、被災地支援の拡充・強化、とりわけ被災者の生活支援と働く場の確保・創出と、医療、福祉、教育、失業者対策などの拡充は急務である。被災者支援の充実を求め全国でたたかいを強めよう。
　震災直後からの燃料、資材、部品、電力の不足は、被災者救援活動の障害となり、労働者の雇用や中小零細事業者の経営を脅かし続けている。背景には、国際競争力強化とコストカットを優先したジャストインタイム（トヨタ方式）などの生産体制が徹底されてきた日本的経営がある。グローバル化する市場の競争に勝ち残ることだけを追求する経済至上の社会は、災害にも経済危機にも極めて弱い。経済危機に続いて明らかになった市場万能の大企業中心社会と決別し、人間らしい働き方、くらしを大切にする憲法が輝く社会をめざす新たな一歩を踏み出そう。
◇すべての労働者・国民のみなさん
　普通に働いても貧困から抜け出せないワーキングプアが広がり、「非正規切り」などの労働者使い捨てや社会保障の連続改悪でいのちの危機が進行し、大企業製造業中心の経済構造が地域経済と中小企業を疲弊させ、農林水産業を存続の危機に追い詰めてきた。これが21世紀初頭の「日本のかたち」であり、労働者・国民の危機と困難の元凶である。
　この危機と困難から抜け出すには、すべての労働者にディーセントワークを実現し、すべての国民に最低限のくらしを保障し、内需中心の経済に転換するしかない。大企業の内部留保が244兆円にも上る富を集中させた仕組みや政治と決別しなければならない。
　財界は、東日本大震災からの復興を口実に、ゼネコン奉仕の大規模開発への回帰、消費税増税など庶民増税の押し付け、道州制導入による地方切り捨てと自己責任の徹底、そしてTPP参加の促進など、国際競争力強化の成長戦略推進を政府に迫っている。
　大震災復興を名目に、労働者・国民の危機と困難を深刻にさせてはならない。被災者・被災地本位、労働者・住民要求にもとづく震災復興を求める国民共同のたたかいを強めて財界の狙いをはね返し、労働者・国民の要求が輝く社会への歩みを進めよう。
　働くものの団結と連帯を強め、要求実現に統一した力を発揮しよう。第82回メーデー万歳！
　　2011年5月1日　　第82回中央メーデー集会

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